• TOP
  • コラム
  • 企業が取り組むべきカスハラ対策──2026年の義務化による法的視点・マニュアル整備・研修のポイント

企業が取り組むべきカスハラ対策──2026年の義務化による法的視点・マニュアル整備・研修のポイント

深刻化するカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)への対策強化が国全体で加速しています。2026年度には事業主に対してカスハラ対策が義務化されることが決定しており、企業は従業員を守るために、徹底したカスハラ対策を講じる必要性が一層高まっています。
今回は、企業が取り組むべきカスハラ対策の概要をご紹介するとともに、特にマニュアル整備や研修のポイントについても解説します。

カスハラとは?近年の状況を解説

カスハラとは、従業員に対する顧客などからの著しい迷惑行為を指し、従業員の就業環境を阻害するものです。具体的な行為としては、暴行、脅迫、その他の違法な行為、正当な理由のない過度な要求や暴言などの不当な行為が挙げられます。

厚生労働省の定義によれば、「職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境を害すること」とされています。

つまり、次の3つの要件を満たす場合に「カスハラ」と定義されます。

1)顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う
2)社会通念上許容される範囲を超えた言動により
3)労働者の就業環境を害すること

カスハラの具体例

具体的なカスハラ行為に該当する例をご紹介します。

・暴力(体当たり、殴りかかるなど)
・暴言・脅迫
・不当な要求(妥当性に照らして)
・長時間にも及ぶ電話などによる拘束

この他にも、該当する行為があるため、事前に確認しておきましょう。

カスハラ対策の必要性~義務化へ~

すでにニュース報道や各自治体の条例施行を目にし、自社も早急に対策を行わなければならないと感じている方も多いかもしれません。さらに、2026年度には企業に対してカスハラ対策の義務化が決定しており、対応が必須となっています。

法改正を受けたカスハラ対策強化の必要性

2025年6月11日に、厚生労働省より「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。

これはカスハラと共に、求職者などへのセクシュアルハラスメントを含めたハラスメントのない職場づくりや、女性の職業生活における活躍に関する取り組み推進を図るための改正です。カスハラに関する事項は、公布から1年6か月以内に施行予定です。

相次ぐ企業のカスハラ事例

カスハラを受けたことがない企業もあれば、カスハラが疑われる言動を受けたことのある企業、すでに深刻なカスハラ被害に直面している企業など、その状況は企業によってさまざまですが、どのような状況にあっても、カスハラ対策はすべての企業にとって必須の課題です。

実際に、深刻なカスハラの事例では、暴言や不当な要求により従業員が自殺するといった痛ましいケースも発生しており、今後は企業の責任が、これまで以上に厳しく問われることになるでしょう。

実施すべきカスハラ対策

法改正を受け、まだ具体的なカスハラ対策は提示されていません。しかし、すでに厚生労働省より公表されている内容から対策の準備を始める必要があります。

カスハラ対策の概要

厚生労働省によれば、法改正を受けた事業主が行うべき具体的な措置の内容は、今後指針によって示すとのことですが、すでに次のことが挙げられています。

・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・相談体制の整備・周知
・発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置

カスハラ対策の基本

厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」と東京都の「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」から、基本対策をご紹介します。

・カスハラ対策の基本方針・基本姿勢の明確化と周知
組織的には、基本方針などを明確にし、社内周知する必要があります。

・相談窓口の設置・適切な相談対応の実施
カスハラを受けた従業員が気軽に相談できる体制・窓口を用意し、広く周知します。カスハラ被害だけでなくカスハラに関連する悩み相談にも広く応じます。

・現場での初期対応の方法や手順などのマニュアル作成
カスハラを受けた際に、迅速に適切な対応が取れるよう、初期対応や手順などのマニュアル整備を行います。具体的には、録音・録画、対応記録、時間計測などの証拠収集や、複数名での対応、相手が感情的でも、丁寧かつ冷静に傾聴するなどが挙げられます。

・事実関係の確認・リスク検証
録音や記録データをもとに、管理者などが確認し、訴訟になる可能性があるかどうか、過失割合を明確にする、実際に何らかの対応を行うなどの体制を作っておきます。

・従業員の安全の確保/精神面及び身体面への配慮
従業員が暴力やメンタル不調を招くような精神的負担を受けた場合、心身ともに安全の確保が必要です。

・従業員への教育・研修
従業員に対してはマニュアルの提供だけでなく、教育と研修が求められます。可能な限り全従業員へ定期的に実施し、パート・アルバイトにも入社時に研修・説明を行います。

・カスハラ再発防止に向けた取り組み
カスハラが起き、問題が解決した後も、同様の問題が発生しないよう、防止策に取り組みます。社内事例の全社共有や従業員の接客態度の見直しなども求められます。

マニュアル作成・研修のポイント

マニュアル作成や研修など、従業員に対する教育については、経営層のメッセージを含めることで一貫した考え方に基づく理解促進が期待できるでしょう。

研修に含める内容としては次の項目が挙げられます。

・カスハラの定義・正当なクレームとの相違
・カスハラ判断基準・事例
・パターン別対応方法
・クレーム対応手順
・顧客への具体的な接客対応のポイント
・記録の作成方法
・ケーススタディ

まとめ

カスハラ対策が義務化されたことで、企業は「どのように実施すべきか」という具体的な対応策を検討する段階に入っています。

中でも、従業員への教育・研修に関しては、全社的かつ定期的に実施する必要がありますが、自社では知識や経験、リソースの面で課題が生じることもあるでしょう。
その場合は、カスハラ研修を外注するのもおすすめです。

日本トータルテレマーケティングでは、カスハラ研修を実施しております。詳細はお気軽にお問い合わせください。

こちらのコラムを読んだあなたへ

日本トータルテレマーケティングの
カスタマーハラスメント
研修資料

こんな方におすすめ

  • ・カスハラで従業員が疲弊している
  • ・クレームとカスハラの区別が難しい
  • ・カスハラの研修内容が気になる
インサイドセールス代行サービス

DL資料無料配布中!

こちらのコラムを読んだあなたへ

日本トータルテレマーケティングの
カスタマーハラスメント
研修資料

こんな方におすすめ

  • ・カスハラで従業員が疲弊している
  • ・クレームとカスハラの区別が難しい
  • ・カスハラの研修内容が気になる
インサイドセールス代行サービス

DL資料無料配布中!