AI時代のカスタマーサポートの課題とは
~顧客が真に求めることは?
自動化すべき業務と残すべき「ホスピタリティ」

昨今はAIの発展が目覚ましく、急速に業務への利活用が進められています。カスタマーサポートの領域にもAIが浸透しており、自動化や効率化に役立てられています。
今回は、カスタマーサポートの領域において、AIによる自動化が生み出す効果や事例、AIによるカスタマーサポート自動化の問題点、効率化と共に進めるべき「ホスピタリティ」、AI時代のカスタマーサポートセンター運営における「自動化」と「有人対応」の棲み分けについて解説します。
目次
AIによるカスタマーサポート自動化が生み出す効果
近年、カスタマーサポート領域へのAI導入が活発になっています。AIはコールセンター業務の自動化を担い、あらゆる業務の効率化が進められています。
実際、どのような効果が得られているのか、事例も交えて紹介します。
カスタマーサポートにおけるAIによる自動化とは?
多くの企業のカスタマーサポートは、人手不足や離職率が高まっている厳しい状況にある中、顧客接点として重要な役割を担うことから、業務効率化とサービス品質の向上が求められています。
また近年は電話だけでなくインターネットを通じてメールやチャットでの問い合わせが多く寄せられており、問い合わせ対応業務に負荷がかかりやすくなっています。
そのような中、AIを搭載したツールの活用が進んでいます。
AIによるカスタマーサポート自動化は近年、急速に進化しており、業務の自動化や顧客データの分析のほか、新たに「生成AI」がメールの文章の下書きや要約、顧客対応など様々な業務をサポートできるようになっています。
AIによる自動化事例
AIチャットボット
通販カタログ会社では、AIチャットボットが、流暢な日本語で顧客からの問い合わせに対応し、一次受付しています。定型的な質問に対しては有人対応が不要になるケースもあるため、問い合わせ対応負荷を75%削減できました。
AI音声応対
ある運送会社では、電話による集荷依頼の約8割をAIが音声で対応し、オペレーターの負荷を大幅に軽減しています。
AIによるオペレーターの応対記録の自動要約
あるガス会社では、オペレーターが問い合わせに対応した後に記録する業務をAIが支援しています。顧客との電話のやりとりを文字起こしするため、オペレーターは記録業務に割く時間を削減できることから、より高い応答率を達成しました。その結果、オペレーターのモチベーションアップにつながりました。
AIによる顧客へのメール文添削
ある会社のカスタマーサポート部門では、オペレーターが顧客からのメール問い合わせに対応する際の負荷を軽減するために、オペレーターが作成したメール文の添削をAIが行っています。これにより、人によるダブルチェックの負荷が約80%削減できました。
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AIによるカスタマーサポート自動化の問題点
AIはカスタマーサポート業務を革新的に自動化することから多くの成果が出ています。一方で、AI導入済み企業からは課題も挙がっています。
クレームや複雑な問い合わせへの対応は不可
生成AIは大規模言語モデル(LLM)により、かなり流暢な日本語を話すようになりましたが、顧客対応においては万能ではありません。複雑な問い合わせやクレームには対応できないなど、まだまだ課題があります。
誤回答(ハルシネーション)のリスク
AIチャットボットが顧客対応をする場合、AIチャットボットが誤回答するケースがあります。近年は顧客対応に生成AIが使われることが多く見受けられますが、ハルシネーションと呼ばれる現象が起きることがあります。これは間違っていることを、あたかも正しいことであるかのように話す現象であり、生成AIの大きな問題の一つとなっています。
放置すれば、顧客に誤った情報を提供してしまうため、顧客満足度に影響が出る恐れがあります。
セキュリティリスク
生成AIは社内データを学習し、さらに顧客からの問い合わせ内容を学習して最適化されることがありますが、その際に、運用方法によっては第三者に情報が漏えいするリスクがあります。
また、AIソリューションを導入すると、何らかの情報を持っていると判断され、ハッキングされる恐れがあります。
このようなセキュリティリスクは大きいものです。
定期的な分析や改善が必要
AIを導入すると、定期的に分析や改善を重ねる必要があります。そのため、メンテナンスに時間を取られたり、専門家の知見やアドバイスが必要になることがあります。
また改善を重ねてAIの精度を高めることも必要です。
効率化と共に進めるべき「ホスピタリティ」
AIを活用することは業務効率化につながりますが、その裏で顧客が本当に求めているのは、機械的な処理ではなく、心通う「ホスピタリティ」ではないでしょうか。
顧客の思いを正確にとらえるべき
改めて確認しておくべきなのは、AIで効率化していることに対して、顧客は本当に喜んでいるのかということです。
機械的、マニュアル的な対応が与える悪印象
AIチャットボットやAIによる電話受付について、顧客は満足しているとは限りません。もしかしたら、顧客対応に人間味がないと感じているかもしれません。
海外の例
海外では、カスタマーサポートにおいてAIが音声で対応した際、話が通じないAIに対して顧客が「AIではない人と話したい」とクレームを寄せた事例があります。
効率化と共に「ホスピタリティ」の必要性
これらの現状を踏まえ、AIによる効率化とともにホスピタリティを追求する必要があるのではないでしょうか。
むしろAI時代こそ、人の価値が高まると考えられることから、人ができること、人であるからこその強みを追求することも有効といえるのではないでしょうか。
AI時代のカスタマーサポートセンター運営における
「自動化」と「有人対応」の棲み分け
では、AI時代にホスピタリティはどのようにすれば実現できるのでしょうか。ポイントになるのは、AIによる自動化と、人が対応するものの棲み分けです。それぞれの役割を再定義してみましょう。
AIによる徹底的な自動化領域
AIを活用する自動化の領域では、次のタスクが適しています。
検索と要約
顧客からの問い合わせに対して、AIが代わりにデータを検索し、その結果を要約して返します。この検索の自動化や結果の要約はAIが得意とするため、AIに頼るべき領域といえます。
ナレッジ蓄積
AIが問い合わせ対応に必要なナレッジを蓄積していけば、オペレーターが参照する範囲が広がるので、顧客対応が効率化します。迅速かつ適切な回答が可能になります。
多言語対応
オペレーターの中には多言語対応が難しいこともありますが、AIがサポートしてくれることで、顧客満足度を下げずに済むことがあります。
パーソナライズ
AIは顧客のデータを分析し、顧客にとって最適な情報を提示することができます。このパーソナライズもAIの得意とする領域であり、徹底的に任せるべきといえます。
オペレーター支援
先ほど事例でお伝えしたように、AIはオペレーターが顧客対応を行った内容を記録する作業を助けます。音声を聞いて文字起こしをし、オペレーターにテキストとして提示します。
人が担うべき領域
一方、人が担うべき領域は、次のものが挙げられます。
複雑な問い合わせへの回答
AIチャットボットやAI音声では対応できない、複雑な問い合わせへの回答はやはり人が担うべきといえます。顧客ごとに異なるお困りごとがある中、いかに丁寧に対応できるかが問われます。
クレーム対応、感情のケア
顧客からクレームを受けたり、感情のケアが必要になったりする際には、有人対応が必要です。ここは人が最も必要になる瞬間といえます。
クレームが生じたときには、ただ顧客のニーズを満たすだけでは足りません。誠意を見せて、信頼を取り戻すことが必要です。このような対応は人にしかできません。むしろ人が出てこず、AIを代わりに対応させることは、顧客を軽んじているように感じられてしまうでしょう。
大口顧客(VIP)への対応
AIは想定外の事柄には対応できません。そのため、顧客の要望が複雑だと、対応しきれないことがあります。しかし、そのような「AIでは話が通じない」という体験を大口顧客に味わわせてしまうと、顧客離れが起きてしまうリスクがあります。
組織にとって大きな損失につながることから、初めから有人対応が適していることもあるのではないでしょうか。
潜在課題の把握・言語化・共感
顧客の潜在的な課題やニーズを把握して言語化すること、そして共感することは、まだ人間の領域です。
AIも潜在ニーズの分析と言語化は可能ですが、共感することはできませんし、顧客にとってはいくら的確な潜在ニーズを分析した対応をされても「血の通わないロボット」でしかありません。そのニーズに共感し、顧客の心にアプローチすることは人にしかできないことです。
このように、AIと人との活動の役割を再定義し、最適化していく必要があるでしょう。
まとめ
AI活用とホスピタリティの両立が重要です。
AIはカスタマーサポートの負荷を低減し、オペレーターを助けます。その技術進歩は目覚ましいものがあり、効果も出ています。しかし、効率化の裏には顧客の不満や失望、信頼喪失が潜んでいることもあり、手放しで喜ぶことはできません。
AIによる自動化を徹底しながら、より一層、有人対応の範囲や質を広げていくことで、顧客満足度向上につながるのではないでしょうか。
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