コールセンターにおける効果的なロープレとは?
~気をつけたいポイントからシナリオ例までご紹介~
コールセンターにおいて、顧客対応の質を向上させるためには、オペレーターのスキルアップが欠かせません。そんな中、オペレーターが実践的なスキルを身につけるための手法としてロープレ(ロールプレイング)は、必要不可欠です。本コラムでは、コールセンターにおけるロープレの役割と効果、さらにその種類や効果的な実施方法について詳しく解説します。
目次
コールセンターにおけるロープレの役割と効果
ロープレとは
「ロールプレイング(ロープレ)」とは、「role(役割)」と「playing(演じる)」の組み合わせから生まれた言葉であり、実際の業務環境をシミュレーションし、従業員が特定のシナリオに基づいて練習する手法です。ロープレは、理論的な知識を実践に移すための重要なステップであり、実際の顧客対応を想定したトーク練習を通じて、オペレーターのスキルアップを図ります。
コールセンターにおけるロープレの役割と効果
コールセンターにおけるロープレの役割は複数ありますが、どのような役割においても、オペレーターが実際の顧客対応をシミュレーションすることで、現場での対応力を向上させる効果が期待できます。具体的には、以下のような役割を担います。
スキルの向上ロープレを通じて、オペレーターは電話の受け答えや適切な言葉遣い、問題解決のための質問方法などを実践的に学ぶことができ、顧客対応の基本スキルから高度なクレーム対応スキルまで幅広く習得することができます。
オペレーターの自信の向上初めての顧客対応は誰でも緊張するものです。そのため、実際の業務に入る前に様々なシナリオを経験することで、あらゆる状況にも対処しやすくなり、ロープレを繰り返すことで、オペレーターが自信を持って対応できるようになります。
顧客満足度の向上最終的には、ロープレを通じて迅速かつ適切な対応ができるオペレーターが増え、顧客満足度も向上します。また、実際の業務で発生し得る問題点を事前に発見することができます。例えば、特定のシナリオでの対応に課題がある場合、ロープレの時点で改善策を検討し、事前に課題を解決した内容を実際の業務に反映させることで、顧客満足度の向上にもつながります。
ロープレの種類
ケース型ロープレ
ケース型ロープレは、具体的なシナリオやケーススタディを基に行われるロープレです。この方法では、オペレーターが実際に直面する可能性のある状況を再現し、その中で適切な対応方法を学びます。例えば、クレーム対応や商品の説明など、よくある問い合わせ内容をシナリオとして設定します。ケース型ロープレは、現実的な状況での対応力を身につけるのに非常に有効です。
グループロープレ
グループロープレは、複数のオペレーターが一緒に参加する形式のロープレです。オペレーター同士で役割を分担し、例えば一人が顧客役、もう一人がオペレーター役でトークをすることで、実際の業務に近い状況を再現します。個々のスキルだけでなく、チームワークやコミュニケーションスキルを強化することができ、チーム全体のパフォーマンス向上にも寄与します。
問題解決型ロープレ
問題解決型ロープレは、特定の問題や課題を解決するためのロープレです。この方法では、オペレーターが問題解決のプロセスを学び、迅速かつ効果的に対応するスキルを養います。例えば、システムトラブルや特殊な顧客の要望に対して、どのように対応するかをシナリオとして設定します。問題解決型ロープレは、オペレーターが柔軟に対応する能力を高めることに役立ちます。
モデリング型ロープレ
モデリング型ロープレは、優れたオペレーターの対応をモデルとして学ぶ方法です。この方法では、経験豊富なオペレーターの対応を観察し、その手法やスキルを模倣します。例えば、ベテランオペレーターが実際の対応を実演し、それを新しいオペレーターが観察して学ぶ形式です。モデリング型ロープレは、業務経験の長いオペレーターならではのスキルを学ぶことが出来るため、ちょっとした “コツ”や会話の間の取り方など、マニュアルにはない成功事例を基に学ぶことで、より効果的なオペレーターのスキル向上を図ることができます。
コールセンターのロープレを効果的にする4つのポイント
続いて、コールセンター ロープレを効果的にするための4つのポイントについて詳しく解説します。
実績のある講師が担当
まず、ロープレを効果的にするためには、実績のある講師が指導を行うことが重要です。講師の実績が豊富であれば、業務に即した現実的なシナリオを提供することができ、参加者が実際の業務で直面する状況に対して適切なフィードバックができます。また、参加者も安心して学ぶことができ、モチベーションの向上にもつながります。
トークスクリプトや教材を入念に作成
トークスクリプトや教材の質がロープレの効果に直結します。トークスクリプトは、具体的なシナリオに基づいて作成されるべきであり、実際の顧客対応をシミュレートすることが求められます。さらに、教材には最新の情報やベストプラクティスを反映させることが重要です。これにより、参加者が実際の業務で即戦力として活躍できるようになります。
段階別で研修
ロープレは一度にすべてを学ぶのではなく、段階別に研修を行うことが効果的です。例えば、初級、中級、上級といった段階に分け、それぞれのレベルに応じた内容を提供することで、参加者が無理なくスキルを身に付けることができます。初級では基本的なトークスクリプトの理解、中級では応用的な対応スキル、上級ではクレーム対応や高度なカスタマーサポートの技術を学ぶといった段階的なアプローチが有効です。
継続的に実施
最後に、ロープレは一度行っただけでは高い効果は期待できません。継続的に実施することで、参加者のスキルが定着し、実際の業務においても高パフォーマンスを発揮できるようになります。
また、定期的なロープレの実施は、新しい課題や改善点を発見し、常に最新のスキルを維持することができます。例えば、月に一度の定期研修や、特定の課題に対する集中トレーニングを行うなど、計画的に実施することが重要です。
コールセンターロープレで使えるシナリオ例をご紹介
続いて、コールセンターのロープレで使用できるシナリオ例を2つご紹介します。
シナリオ作成をする際にはぜひ、参考にしていただければ幸いです。
インバウンド対応
インバウンド対応は、顧客から商品の問い合わせやクレームを受ける場面が多く、迅速かつ適切な対応が求められます。以下のシナリオは、実際のコールセンター業務でよく見られる状況を想定して作成しております。
インバウンド対応【ソフトウェアについてのお問い合わせ】例文 | 対応ポイント | |
---|---|---|
オペレーター | 「お電話ありがとうございます。〇〇株式会社の〇〇が承ります。本日はどのようなご用件でしょうか?」 | |
お客様 | 「先日購入したソフトウェアのインストールがうまくいかなくて困っています。」 | |
オペレーター | 「ソフトウェアのインストールでお困りとのことですね。ご不便をおかけしてしまい大変申し訳ございません。もう少し詳細をお聞かせください。」 | ●お困りの内容を具体的にヒアリング ●解決するために必要な情報を確認する (不具合の詳細、使用品番など) |
オペレーター | 即対応できる場合 解決方法の説明 |
●専門用語を使用せずに分かりやすく |
オペレーター |
即対応できない場合 保留:「お調べいたしますので、少々お待ちください。」 かけ直し:「担当部署に確認し、後ほど正確な内容をお伝えいたします。お時間いただき恐縮ですが〇時以降にて折り返しさせていただきます。」 |
●かけ直しの際は、時間を伝える |
オペレーター |
「ソフトウェアのインストールについてご案内をさせて頂きましたが、その他にも何かお困りのことはございませんでしょうか。」 最後に 「この度は、ご多用の中、お問い合わせいただきありがとうございました。」 |
●ご案内した内容に不備がないか、その他にもお困りのことはないか確認して電話を終える ●忙しい中、お問い合わせいただいたことにお礼を伝える |
このシナリオのように、お客様に対する丁寧な対応以外にも、困りごとやご要望を詳しくヒアリングして、問題解決のための具体的な手順を案内することが重要です。
アウトバウンド対応
企業側から顧客に連絡を取る場面であり、営業活動やフォローアップが主な目的です。以下のシナリオは、効果的なアウトバウンド対応を実現するための例となります。
アウトバウンド対応【新モデルのご案内】例文 | 対応ポイント | |
---|---|---|
オペレーター | 「お世話になっております。〇〇株式会社の〇〇と申します。いつも弊社の製品をご利用いただき誠にありがとうございます。 この度、ご利用いただいている製品から、より高性能な新モデルが発売される為、ご紹介をさせていただきたくご連絡しました。3分ほど今お時間よろしいでしょうか。」 |
●利用して頂いていることへの感謝をお伝えする |
お客様 |
いいえの場合 「お忙しい中、申し訳ございません。1分程で特徴と価格のみ説明させていただけないでしょうか。」 承諾いただいたら、説明をする お時間がなかった場合 「お忙しい中、申し訳ございませんでした。また改めてお電話をさせていただきます。」 |
●時間を具体的に示す ●しつこくなり過ぎないようにする |
お客様 |
はいの場合 お礼をお伝えして、説明をする 「〇〇の面で、機能が良くなり〇〇のような業務にお役立ていただけると思いご紹介させて頂きました。ご紹介は以上となりますが、現在、何かお困りのことやお探しの製品等はございますか?」 |
●製品がどのような部分で役立つか顧客目線でお伝えする ●その他にも困っている事がないか確認することで、クロスセルにもつながる |
オペレーター |
興味がある場合 「ありがとうございます。このまま詳細な説明をさせて頂くか、別日にて説明をさせて頂ければと思いますが、いかがでしょうか。」 |
●興味をお待ちいただけた場合は、すぐに詳細な説明を行うようにする ●選択肢を用意することで、どちらかを選んでいただけるようにする |
オペレーター |
興味がない場合 「承知いたしました。月末までは50%オフでご利用いただける期間ですので、この期間にぜひ、ご検討ください。」 |
●興味がない場合でも、今契約するとお得になることをお伝えする |
アウトバウンドコールではお客様が聞きたい話をすることが重要です。そのために、お客様の業務内容をインプットすることや、以前のご要望を整理しておくことでアップセルやクロスセルにもつながる提案ができる可能性がございます
おすすめ
- ・オペレーターの育成・研修について知りたい
- ・実績のある講師から講習を受けたい
コールセンター研修の外部委託のメリット・デメリット
コールセンターのロープレを効果的に実践するためには、前述の通り、いくつかのポイントがあります。しかし、シナリオや段階別プログラムを作成する知見が無いことや、通常業務とのリソースの関係で実績のあるメンバーが講師になれないこと、早期に立ち上げたいが準備が間に合わないなど、多くの悩みを抱えている企業様にとって、コールセンター研修の外部委託を利用する選択も一つの解決策です。ここからは、外部委託するメリットとデメリットをご紹介します。
【メリット】
講師、教材・マニュアル、会場などの準備が不要
コールセンター研修を外部委託する場合、講師、教材・マニュアル、会場などの物理的なものはすべて提供されることが多いため、準備が不要です。
階層別研修のプログラムが整っている
コールセンター研修を提供している代行会社は、多くの場合に階層別にプログラムを用意しているため、既存のプログラムを選択して受講できます。カスタマイズに応じてくれる場合もあるため、相談してみるのも良いでしょう。
質の高い講師からの指導で研修効果向上
質の高い専門的な知識を持つ講師が教えるため、研修効果が高く見込めます。研修後のフォローアップ体制も整っている場合は、より高い効果が期待できます。
コア業務への集中
外部に研修業務を委託することで、自社において研修にかける労力と時間が削減できます。その分、コア業務に専念することができるでしょう。
【デメリット】
研修内容が自社のコールセンターに合っているか見極めが必要
研修を提供している会社のプログラムが必ずしも自社のコールセンターに適しているかはわかりません。よく内容を吟味し、場合によってはカスタマイズする柔軟性が求められます。
費用対効果を出す必要性
外部委託にかける費用が相応の効果を出せるかどうかが重要です。研修会社の見極めが必要といえるでしょう。
まとめ
本記事では、コールセンターにおける効果的なロープレのポイントについて解説しました。
ロープレ及び研修は、コールセンターを運用する上で顧客満足度に関わる重要な取り組みです。ただし、ロープレを行う上で重要な講師やオペレーターの時間の捻出など、、自社の状況に応じて、最適な体制で取り組みましょう。
日本トータルテレマーケティングでは、コールセンター代行サービスと共に研修サービスも提供しております。基礎研修から応用研修まで、階層別に最適な幅広い研修プログラムをご用意しており、最適なプログラムの選択が可能です。
詳細に関しては、コールセンターオペレーター育成・研修サービスページや資料をご覧ください。
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